作法学の誕生

作法学の誕生

About this Book

本書は作法学に関する既出の論文を再編集したもので、内容別に三部構成にした。第一部「作法学の構想」は作法学についての概論である。そこでは作法を学問として、すなわち作法と称される評価命題の集合を分析的に記述するための概念装置および研究の手順と方向などを述べている。第二部は、作法学の適用・各論の例として、既存の作法書(テキスト)から、作法の要素を抽出し、それらの構造とそれを支えている価値観をあぶり出すことを試みた。ただし、作法書(作法構造体)全体を分析するには至らず、作法学的研究の例示として、テーブルマナーと男性ファッションについてのみを扱っている。第三部は、テーブルマナーのようなすでにテキスト化された作法ではなく、作法書にはいまだ取りあげられていないような、人々に内面化された暗黙段階の作法構造体を抽出し、そこから構造的・明示的な作法を構成することを試みた。いわば作法が凝結し生成する過程の例である。そこでは、電車内乗客のふるまいについての女子学生による観察・評価結果をデータとして、女子学生集団が電車内での禁忌・理想とみなす所作の潜在的な構造・価値観を抽出してみた。したがって電車内における実用的作法のサンプルとして読むこともできる。

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